私の腎炎は症例が少なく、ちょっと珍しいので病名は避けますが腎炎治療の一つにステロイドパルス療法というものがあります。
「ステロイド」という言葉はさほど専門用語ではありませんね、分からないのが「パルス」でしょう、私も今だに分かりませんし、調べる気もありません。
そんな事よりもステロイドパルス療法とは何なのか?
何をするのか?
それを行うと何が起きるのか?
知りたい事はこれでしょう。
私の経験を参考にどうぞ。
ステロイドパルスとは?
簡単に言ってしまえば短期間で大量のステロイドを体に入れる、方法は入院して点滴。
これにより腎機能の回復(数値的な意味で)が早く現れる、つまり即効性がある療法ということになります。
入院して点滴して薬を飲むだけなので腎生検のような痛い思いはありません。
私の場合は約一カ月入院、
どれだけ真面目に暇つぶしを出来るかが勝負になります。
最初に歯科受診
ステロイド系の薬を飲んでる方はご存知でしょう、飲み続けると骨が弱くなるので骨粗しょう症予防の薬も同時に飲む事になります。
これがステロイドパルスとなると短期間で大量のステロイド投入になりますので歯がもろくなるそうです。
という事で入院初日はよく分からない検査(全部痛くない)を沢山やらされた後に歯科で虫歯のチェックを行います。
町の歯科と圧倒的に違うのは当日に全部の虫歯を治療してしまうって部分でしょう、こんな事を書くと町の歯医者さんに怒られそうですね(経験上、町の歯医者は一日で全てを直そうとしない)
歯が健康的な方ならチェックでお終い。
ステロイド投入のため、点滴針を刺しっぱなし
毎日点滴によるステロイド投入を行うわけではありません。
この辺は医師の判断にもよるでしょうが三日連続で点滴投入、次の三日間は飲み薬、それが終わると再びステロイド点滴タイムの繰り返しでした。
ただ三日間連続でステロイド点滴とは言ってもですね、せいぜい1時間~2時間/dayです。
残りの22時間ぐらいは寝るか飯を食るか…といったあまりにも暇すぎる入院となります。
当然だけど決まった時間に検温や血糖値チェックや採血(採血は点滴の管からやってもらえる時もアリ)があるのでその時間は病室にいないとダメ。
という事で基本的に点滴の針は挿しっぱなしの入院となります。
ステロイドパルス療法と喫煙について
現在ほど喫煙に対する世間の目が厳しくなかった時ってのが前提にあります。
病院内での喫煙はあり得ませんね、それは当たり前。
じゃあ病院の外は?となると吸う人は吸ってます。
私の入院した病院では近くのタバコ自販機前が喫煙所になっておりましてパジャマ姿、点滴及び尿道カテーテルをしながら(点滴台をガラガラと引きながら)で喫煙する人が居ました。
私としては一カ月の入院で禁煙!と意気込んでいましたが入院二日目にして外の喫煙所メンバーに仲間入りしてしまいました…
基本的に顔を合わせるメンバーは大体同じ、喫煙所に集まってくる時間も大体同じです。
しかしそんなダメ人間でも効果が現れる、それも数値にハッキリと現れたのがステロイドパルス療法、考えた人は偉いですね!
進化する採尿器
入院中はステロイドパルスの効果を調べる意味でも尿は全て採尿(蓄尿)になります。
ただし今までのような蓄尿器ではなく入院病棟に設置された専用の機械による蓄尿可能なトイレってやつ。
やり方は簡単、紙コップにオシッコを入れたらこのようなマシーンに自分の名前を選択して入れるだけ。
前の人の尿と混じらないかが心配… でもそこは大丈夫なんですって。
インスリン注射
「インスリン注射?そんなの聞いてねーよー!」ってな人もいるでしょう、私もインスリン注射については何も聞かされていませんでした。
ステロイドパルス療法中にご飯を食べると血糖値が上がるんです…と。
そんなもん全く知りませんでした。
血糖値が上がって腎臓が弱ってたりすると今度はもっとヤバい病気になってしまいます…って腎臓内科での入院はそのような病棟なのでかなりエグイ患者さんがいます。
食後に一服して病室に戻り、「どこ行ってたんですかぁ~?タバコ臭いですよ!」なんて言いながら血糖値をはかった看護師さんが突然「インスリン打ちますねぇ~」と言い放った時は正直言って「俺終わったかも…」と思いました。
これは腎臓内科の患者がいるフロアとはですね、糖尿病の方も一緒にいるようなフロアってことで透析患者なんかも余裕でいるってな世界です。
こんな事を言ってはなんですが
「俺はそこまで悪くないはず、このフロアで一番健康的なんだ!」
といったプライドというか謎の自信みたいなものがありました。
それが突然のインスリン… かなり凹みました。
ただ後から担当医さんが来ましてインスリン注射について詳しく教えて頂き安心。
継続的にインスリンを打つのではなく、食後の血糖値が上がった時のみ打つってな話でした。
実は病院の飯では我慢できずに売店で牛丼とかお菓子とか普通に食べちゃってたんですよね….インスリンの説明時、担当医に正直に話したら「体重減らないし、そんな事だろうと思ってた」と怒られました。
因みにインスリンの注射は針が凄く細いので全然痛くありません、ラッキー!
ステロイドパルスの副作用
ステロイドパルスを行うと顔が丸くなります。
これはステロイド薬を飲んでる人なら知っている副作用ですね、それがステロイドパルス療法ともなれば露骨に顔が丸くなります。
これは退院して暫くすれば元に戻りますので大丈夫、顔が丸いのでイイ人っぽく見られるといった良い部分もあります。
キレやすい性格になる
これがかなり厄介、自分でも「キレやすい俺」に気が付いてしまうほど。
入院用に持ち込んだゲームが上手くいかないだけの理由で破壊しました。
これじゃあマズイ!ということで同じくステロイドパルスで入院中の方に相談するとですね、
- 「朝早起きして軽く体を動かす」
- 「疲れたら寝る」
- 「また軽く体を動かす」
なんのアドバイスになっていないような気もしますね、でもそれしか方法が無かったです。とにかくキレやすく、病室にも病棟に居たくありませんでした。
数値が激的に良くなる
ステロイドパルス療法を始めてから二週間ぐらいのデータではそれまで「あんたヤバいよ…」と言われていた数値が激的に良くなりました。
さすがステロイドパルスですね、
こりゃ来週にも退院ですかねwww といった担当医の言葉に喜び、私は気分が大きくなっていたのでしょう。
「俺はもう大丈夫だ、それにもう我慢が出来ない」
2週間も入院していれば飯の時間、検温の時間、といった看護師が来る時間は体で覚えている状態です。
私は空白の3時間で看護師に何も告げずにタクシーで自宅に帰りました。勿論点滴の針は挿したまま、上着で隠していました。
自宅でやる事は一つだけ、抜くだけ(点滴の針ではありません)、そのためだけに勝手に一時帰宅したようなものです。
さくっと抜いて予定時間よりも早めに病院に戻り、何食わぬ顔で過ごす… もの凄い秘密の冒険をしたようで私の心は踊っていました。
- なぜワザワザ自宅に帰るのか?
- シャワー室で隠れてすれば?
という声もあるでしょう、確かにその通りです。
その通りなんだけどシャワー室ではおかずが無い、寝そべってやり難い。
何度かチャレンジしましたが病院のシャワー室で一人でってのがどうしても精神的に厳しい状態でした。
愛の要素が一ミリもない。これは男性ならではの問題ですね。
一時帰宅、外出許可を貰う
一回目は勝手に外出しましたが、やはり点滴の針が刺さったままで何かあったらマズイ…という事で一時帰宅の許可を申請。
替えの服が無くなったので緊急的に自宅に帰る必要があるみたいな理由だったと記憶しています。
一時帰宅の許可はあっさりとOK、それから私は何かと理由をつけては一時帰宅の申請を行いました。
一時帰宅の際は点滴の針を抜く必要があるのでステロイドパルス点滴が終わったらすぐに抜いて家に帰って違うものを抜くといったルーティンです。
その時には我慢できずにカツ丼なんも食べちゃったりもして… 毎日体重計るからバレますよね。
やってはダメですが、やろうと思えばそれぐらいの事が出来てしまうのもステロイドパルス療法の入院のように思えます。
私ごとですが、ここまで晒せばステロイドパルス療法による入院への不安感はかなり緩和するのでは?と思いこの記事を書きました。
私はステロイドパルス療法で数値が激的に良くなりました。
「やってよかった」です。
ただし、それでも健常者のような数値にはなってはいなく、ヤバい状態になる手前だったようです。
今でも定期的に行う採血、採尿は相変わらずの数値… 悪化したら再びステロイドパルスかもね?ってな状態です。
因みに医師ではなく、先天性の腎臓病でステロイドパルス治療をされてる方から聞いた話だとステロイドパルスは3年ぐらいたつと元に戻っちゃう、だから俺は3年毎にやってるよーってなお話を聞きました。
私もそろそろやる時期なのでしょうかか、それとも扁桃腺の摘出か… そろそろ担当医さんから何か言われそうな時期です。
ステロイドパルス療法での入院中に普段の食生活について口うるさく言われまくりました。
だけど栄養士でもない、塩分の計算もしたくない…という事で腎臓が弱っている方向けの宅配の冷凍おかず(ちゃんとしたご飯のおかず)を1年以上は食べ続けました。
治らない腎炎が見つかってから10年ぐらいを生きる私、今でも週6回前後は宅配の冷凍食品を食べています。
※月・火・水は昼飯と夕飯を宅配冷凍食品で食べるイメージです。
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