世間一般にガンダムと言えば
「ロボットが戦う」
でしょう、とくに年配の方からすればプラモデルといった玩具やアニメといったイメージが強いと思います。
個人的にはそのようなイメージのままであるほうがガンダムシリーズというコンテンツにとっては良い方向だと考えています。
….まあガンダムシリーズには政治的主張が濃い内容もあるからガンダムの記事を避けてきたってのが私の本音です。
そんなガンダムシリーズの中で、少し変わった視点のシリーズ「機動戦士ガンダムサンダーボルト」について少し語ってみようと思います。
機動戦士ガンダムサンダーボルト1stシーズン(全四話)
ガンダムサンダーボルトとはみんなが知っているアムロ、シャア、ジオン、連邦が戦いを繰り広げた宇宙世紀0079末期の話です。
最初にテレビ放映されたガンダムの戦いはアムロが所属する舞台を中心に描いた話で、サンダーボルトは同じ時代の別部隊を中心に描かれたストーリーとなっています。
なぜサンダーボルトってな題名なの?
って聞かれれば、それはサンダーボルト宙域を中心とした話だから。
宙域とは海域の宇宙版みたいな呼び方ですね、大二次世界大戦なんかで言うところのミッドウェー海域みたいにな感じ。
そんなサンダーボルト宙域は0079時代における一年戦争末期の悲惨な部分を描いた物語… 個人的な感想を言えば子供が見ることはお勧めできません。
ジオンと連邦が戦う理由
基本的に連邦とジオンの戦いですが、サンダーボルト宙域の双方にとって戦う理由が細かく描かれています。
そこには敵対する登場人物同士の戦いも存在し、恨みの連鎖も戦いを加熱させてゆきます。
仲間がやられた、それも無残なやられかただった
仲間がやられた、とても仲のよいやつだった
ハリウッド映画的なパターンで言えばやった側が極悪です、そら極悪な宇宙人と戦うストーリーのほうが各方面からうるさく言われないってもんです。
ガンダムの内容を詳しく知らない方の場合は連邦が正義、ジオンが悪といったイメージでしょう、実際に初代ガンダムのテレビ放映もそのような雰囲気が強かったと思います。
ただ戦争が始まるという事は双方にとっての言い分があるわけでして、それも比較的民主的な国家間同士の戦争ともなれば片方を正義、片方を悪と決めつけては本質を見失うってもんです。
この辺の事情は日本も現在進行形な部分が多いのでリアルで語る事はまだ難しい、でもアニメの世界なら本質的な部分だけは語れるってもんです。
そのような微妙な部分を深くえぐってくるアニメがサンダーボルト、さらに戦争末期の状態ともなれば負け戦側のジオンはそうとう厳しい状態となっています。
その中でもサンダーボルト宙域を守るジオンのリビングデット師団、戦闘により腕や足を失った兵士が義手や義足をつけてモビルスーツに乗り込み戦います。
モビルスーツを満足に操縦出来ない彼らはスナイパーとしてサンダーボルト宙域に潜み、連邦の侵入を防ぎます。
ただスナイパーは見つかったらお終い…ってのはリアルな戦争でも同じ事ですよね、これはアニメでも同じような雰囲気であり、かつ義手などでモビルスーツを満足に操縦出来ないとなれば厳しい戦いである事が想像できるでしょう。
そのような状態でありながらもサンダーボルト宙域を死守せよとの命令、五体満足なパイロットが補充されない、モビルスーツ不足といった補給が厳しい状態でリビングデット師団は戦います。
対する連邦側はサンダーボルト宙域を奪還すべく大量の物資や人員を投入してきます。
しかしそこはリビングデット師団のスナイパー部隊が目を光らせる場所…
配属されたばかりの新人パイロットが訳も分からない状態で戦場に放り出され、無残にもスナイパーの餌食となっていくというカオスすぎる世界です。
もうこの時点でアニメとは言っても見るのが厳しい状態ですよね、一応モビルスーツが敵にやられてパイロットがやられるという事にはなっていますが、そのアニメ描写がリアルすぎるので言葉を失うシーンがあります。
こりゃアカンよ…
どんどん悲惨な状況になるリビングデット師団
補給はない、でもサンダーボルト宙域を死守しろってな本部からの命令は酷すぎます。
しかしそれを実行する他に選択肢がないのも事実、リビングデット師団には逃げ場が無いのです。
連邦側のムーア同胞団、実は彼らの故郷がサンダーボルト宙域となっておりそれを奪還すべく戦うのですが、しまいには学生兵がバンバン送られてくるという消耗戦に発展。
そんな学生兵を戦場に送り出す命令は逝って来いと言うのも同然…
女性指揮官のクローディアは通常の精神を保てなくなり薬に逃げていくというコチラもカオスな世界。
そんな中、連邦側がサンダーボルト宙域奪還に向けての総攻撃を行う事態に。
それを阻止して敵母艦を叩くしか生き残る方法がないリビングデット師団は研究中の技術と色んな倫理感をぶち壊すアイディアで生存をかけて戦いに挑みます。
サイコ・ザク
通常のザクは知っている人が多いですよね、コレです。
サンダーボルトに出てくるサイコ・ザクはもっと赤が強い感じの試作機です。
通常のザクは五体満足なパイロットが手や足を使って操縦します。
サイコ・ザクの場合は全然違いまして、人間の体の神経と機械を繋いで操縦するシステム。
(余談ですが、ガンダムの世界では試作機は高性能)
リビングデット師団では義足のパイロット、ダリルでサイコ・ザクのテストを行っていました。
しかし戦況の悪化により主人公ダリルが更なる負傷で腕を失います。
そして連邦の総攻撃が始まる、残された手段はサイコ・ザクを完全な物とし、敵母艦を叩き勝利するしかない、
それしか生きのびる方法はない、
リビングデット師団の母艦には大勢の仲間がいる、
…
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ここから先は言葉で言い表せないほどのインパクトがあり、作品レビューと言えどブログに書くのを躊躇ってしまうほどの内容、
人間的にもどうかと思うほど酷な人間ドラマなので書けません。
長渕剛さんの歌が聞きたくなると言えば何となく想像出来るでしょうか…
サンダーボルトを見てみないか?
見てみないか?と勧めておいて言うのもなんですが、悲惨な物語や戦争における極限を描いたストーリーに抵抗感がある方は見ないほうが良いです。
それほど刺激的な内容となっていますので、見るにしてもそれなりの覚悟をもって見る事をお勧めします。
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